うちのボス
- DEVILmama
- 2019年6月13日
- 読了時間: 6分
更新日:2024年10月28日
次女を妊娠中から始めたパン作り。なぜだか手作りパンが食べたくてしょうがないのだ。まだ一歳の長女に授乳しながらパン作りの本や、ケーキ作りの本を開いてニタニタ。すごい絵である。
パン作りは数年遡ってまだ同棲だった頃に買った本があった。それで一回二人で作ったんだけど、大失敗。できたのは焼餅だった。生地はまっちろなのに、上に真っ黒な焦げだけついた。硬くてクソまずい。その失敗でそれ以降全くやることなく、素晴らしいパン作りの本はずーっと使われることなく寝込んでた。
なぜパンが餅になったのか。1.コネコネするときに蕎麦用の加工なしの無垢の木のまな板を使ってしまい、水分が吸われてしまう。初めてのパン作り!の数ヶ月前に同棲相手が蕎麦作るっつって、一式揃えて一回やってほっぽってあった道具があったのだ。2.足りない電気オーブン。足りないのは発酵機能も、焼きの機能も。開け閉めするだけで温度が変わって、それに追っつけない力の足りないオーブンを使っていたため。
つまり計量と温度調整だけしっかりできれば、大抵のアホでもできるのがパンである。豚骨スープと一緒である。そこら中にパン屋ととんこつラーメン屋がある理由である。とびきり美味しのは少ないけどさ。
で、次女がお腹にいるときにどうしてもパンが作りたくなって、しかも朝ごはんに焼きたてパンが食べたくなって、朝なんと4時半に起きてドーンドーンとパンを捏ね始める。しかもそのとき賃貸していた家の備え付けのオーブンは発酵機能も充実したハーマンのガスオーブンだった。だから発酵もスムーズだし焼きもスムーズ。ほかほかの焼きたてのパンが食べれて、すっかり習慣に。だけど一歳ちょっとの長女をドンドンうるさいパン捏ねで朝の4時半に起こしては申し訳ないと、Braunのドウ付きの(捏ね付きの)マルチブレンダーをアマゾンで購入。それが本当によく使えた。今売ってないのがじゃんねんである。
もう販売されてないのだ。ドウ付きはあるが卓上ボール型なので、容量はどうしたって限られる。当時はちょっと重いがただの片手のブレンダーなので、ボールの大きさも、容量も制限はない。そのブレンダーがキッチン用具に加わってケーキ作りにも手を広げることになった。
その後新築の家に引っ越すことになり同じハーマンのガスオーブン兼レンジを購入。だけどうちのキッチンの規格には合わず設置をしてくれるところはない。一回ガス屋も呼んでいる。エンジニアしてた元夫が取り付けてくれるっつーから買ったのに、引っ越した途端ほっぽらかされた。一年。レンジも使えず。ま、レンジはあんまり使わないんでいいけどさ。付け加えれば0歳2歳児の育児中。レンジだってあれば便利だっただろう。
会社が傾き始めて、初めて焦ってオーブン設置。会社が傾かなければ、決して設置はされなかっただろうな。暇だとしても。その一年だって暇はあったはずだ。で、めでたく設置され、パン作り再開。アンパン、メロンパン、リーンなパン、ソーセージパン、チーズパン、散々食ってての、一年の無視である。再開してコーンブレッドや全粒粉のパン、イギリスパン、フランスパンも加わり、設置手伝わせた弟に、いいでしょ、うち、パンも焼けるんだよ。ほざいてる。だったらさっさとつけろよバーカ。
でも、それで、毎日のようにパンを作る生活が戻ってきた。何より、買うより断然安くて断然美味しい。だって日本ではパンは贅沢品である。アホみたいに高いところもたくさんある。朝の4時に起きては出産してからは無くなったけど、大体午前中に作り始めて子供のお昼ご飯にしていた。夜に向けて仕込んでディナーでももちろんあり。手作りのパンは硬くなるのが早いので二十四時間以内に消費すべきなのだが、夜作ったパンは次の日のお弁当でもまだまだ美味しく食べれる。だから長女のお弁当用にもよくパンを作ったもんだ。サンドイッチにしたりね。朝一のパンだと熱すぎるしやわらか過ぎて、お弁当には向かない。焼きたても恐ろしく美味しいが、一番の美味しい時って焼いて二〜三時間後と言われていて、それって一理ある。今考えればサンドイッチにしてあげる必要もなく、チーズパンとかあんぱんとか、梱包を考えて持たせてあげても全然よかったかもな。けれども幼稚園児に紙袋入れたパン二つって当時は結構ハードルが高かったのだ。
忙しくてクタクタだったある日の夕方。晩御飯はもういいや、卵かけご飯でって手抜きしたら、「これ明日の咲子ちゃんのお弁当?あは❤︎」って長女。私は思わずうけてしまった。大体夜ご飯で作ったメインのおかずを一品お弁当に詰めていた。「ちがうよ〜。」って笑って答えたけど。このギリギリの質問。私はクタクタだったけど、長女の賢さに笑えた。ママの手抜きも見抜いての、しかも、卵かけご飯大好き、卵割って弁当にしてみたい、といういろんな彼女の気持ちが伝わってきたから。これ、一方的にムッとしたり、下手すりゃ激怒になるクタクタな親もいそうだなと思ってさ。なめてんじゃないわよ!!!が始まるおばかはうようよしてますよ。
ある初夏の朝。朝の家事が終わってから、キッチンでパン捏ね開始。子供用に置いてある踏み台に座って、鉄製のボールを太ももに挟んで捏ね開始である。半ズボンだから太ももはむき出しで、それが、ちょうどよく生地を温めていい捏ね具合にしてくれる。すると、たたたたと、リビングから次女登場。長女は二歳過ぎて別室にいる私の行動を伺いに来るということがほとんどなかった。二歳まではいっつも一緒にいた。だから次女のように様子を伺いに来たという経験がない。きっと妹がそばにいるってこともあったし、安心しきっていたいい証拠だと思うけれど、次女は私にべったりで、別室にいる時には必ず確認の上ちょっかいを出しに来た。で、たたたたと来たと思うと、パシっと背中を叩かれる。ビクッとするママ。「あ〜❤︎」と満面の笑みで覗く次女。一歳ちょっとの頃である。まだ二語文に届くかどうかの頃。「ママパン作ってるの。」って言うと「あ〜⤴❤︎!」と心なしか「あ」のテンションが上がる。そして、その捏ねてるボールに手を突っ込もうとする次女。「ダメダメダメ、花子のお手てパンになっちゃうよ。」とたしなめると、「あ〜⤴⤴??❤︎」さらに上がるテンション。わかってやっているのである。ほんとそういう性格を、ことあるごとにその後経験した。で、「もう直ぐできるからね」って言うと、ぽんぽんと肩を叩いて、リビングに戻るのであった。美味しく作りますよ。もうちょっとだよ。
これが、パン作りや食い物作ってるのでなかったりすると、ぐずってまとわりつくのはなんででしょうね。なんでですか、ボス…。


Comentarios